わたしの体験談
前職で培った知識や技術が生かせます
氏 名
年 齢
就農地
就農年次
:
:
:
:
浅生山 照雄(あそうやま てるお)
40歳
富山市
平成18年
【法人就業/(有)営農ワイエムアイ】
— 就農までの経緯を教えてください。
高校を卒業して陸上自衛隊(金沢駐屯地)に入りました。主な任務は車両の整備でした。4年間の任期を終え、富山に帰ってきました。再就職では溶接や運送などの仕事に就きましたが、仕事に充実感がなく長く続きませんでした。やりがいのある仕事を探していた時、今の勤務先が求人しているのを知りさっそく応募しました。
— それ以前に農業の経験は?
実家が兼業農家で0.7haほどの水稲を行っており、子どもの頃からよく手伝っていたので、就農することに対して違和感はなく、また求人案内には水稲がメインとありましたので、何とかなるだろうと軽い気持ちで応募しました。
— 実際に就農して違いましたか。
僕は農業を、「田舎でゆっくり……」というイメージでとらえていたのですが、実際は違いました。大規模経営では数多くの水田に作付けし管理するわけですから、ものすごく忙しく、特に田植えや稲刈の時期は、1カ月ほど休む日もないほどです。最初の3年間は先輩の指導を受けながら作業をしていました。僕自身の要領の悪さもあってムダな仕事をしていた一面があるのは事実ですが、不思議なことに前の仕事の時と違って、達成感を少しずつ味わうことができるようになりました。そして一定の面積の田んぼの管理を任されるようになり、予想以上の収量があったり、高品質な米が収穫できた時は、自ずから成長したのかなと思いました。そういう達成感を感じるごとに、就農してとてもよかったと思うようになってきました。
— 勤務先の経営概要と浅生山さんの担当を教えてください。
水稲89ha、大豆15ha、ネギ30aです。田んぼごとに担当を決め、今年(平成26年)僕は40枚約7haを管理しました。大豆やネギは全員で協力して、播種から収穫までを行っています。他に僕は、コンバイン等の整備を担当しています。収穫後、コンバインの刈取り部を分解して、掃除をするとともに、損傷や摩耗している部品の交換など1カ月かけて、全作業機械(20台くらいとアタッチメント等20種類)行っています。
— 就農されて10年になりますが、後輩の指導なども行う頃ではないですか?
今年は新人が2人入社したので、その指導を任されました。9年前の自分を思い出すこともあります。実際の作業では、田植えは3人1組でチームを組み、2チームでこなしています。その1チームのリーダーをさせていただいています。また機械の整備についても、「機械課長」という役職をいただき、若い人たちにも整備方法を指導したりもしています。
— 新しく取り組みたいことはありますか。
米の消費減に加えて、過剰作付により在庫量が多く、米価が下がっていく現状から、野菜などで収益の柱になるものを探せたらいいと考えています。冬の間、ハウスで小松菜や白菜の栽培ができないかと試験栽培に取り組んでいますが、他の野菜の可能性も調査し、いずれ本格的に栽培できたらと考えています。
— 就農を考えている方へのアドバイスを。
僕の勤務先での経験を踏まえて言います。ここには前職が塾の先生だった人、IT企業に勤めていた人、森林組合でほとんど毎日森に入っていた人、デザイナーだった人など、さまざまな経験を持った人がいます。僕も自衛隊などを経験しました。でも皆、先輩の指導の下で、米や野菜を育てるノウハウを身につけてきましたから、農業について知らないからと不安になる必要はありません。また農業には、前職で培った知識や技術を生かせる場がたくさんあり、決してムダになることはないと思います。ですから他の職業から農業へ転職を考えている方は、現職でのスキルアップを図っておかれるのもいいと思います。