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夢を持って野菜経営に取り組む!


百石 周生 氏 名:百石 周生
年 齢:42歳
就農地:入善町
就農年次:平成16年



就農のきっかけを教えてください。

   実は、父が亡くなったことです。父は専業農家で、ハウス栽培(18a)の野菜をメインにして、ほかに稲作(2.4ha)を行っていました。その農業経営を引き継ぐという形で34歳の時に始めたのです。
   

それ以前は何を?

   製造業の会社で、事務を担当していました。
   

農業を引き継ぐというのは、前から考えていたことですか。

   父が元気な時は考えたこともありませんでした。ですから、引き継ぐかどうかについては、相当悩みました。父の他界があと数年遅く、私が40歳くらいだったら稲作はやっても、ハウスは止めていたかもしれません。ただ、子どもの頃から手伝いはしていましたので、農業に対しての拒否感はなく、むしろ楽しいというイメージは持っていました。実際に働いてみて、毎日楽しいのは間違いありません。
   

ハウス栽培ではどんな野菜を?

   きゅうり、白ねぎ、オータムポエムなどです。メインはきゅうりで、5・6・7月出荷の春作で10aほど、10・11月出荷の秋作で5aほど栽培しています。白ねぎは冬の時期のハウス白ねぎ。オータムポエムは、花芽が付いた若い茎を食べる野菜で、見た目は菜の花に似ています。でも、菜の花のような苦味はなく、ほんのりと甘みがあります。ハウスの中で栽培し、ボイラーなしでも茎が次々伸びてくるので、12月から3月にかけて収穫できます。葉もの野菜が少ない時期ですから、好評です。
   

基本はきゅうりということですが、相場に左右されますね。

   その通りです。ここ数年は、まあまあの値段で安定していて助かります。私ども新川地区の農家5名がきゅうりを栽培していて、「新川きゅうり」のブランド名で販売しています。
   

白ねぎはどんなものを?

   「ハウス白ねぎ」です。これもJAみな穂管内の農家でブランド化しています。冬にハウスの中で栽培しますから、雪で折れることがなく、この時期の寒さにより甘味がすごく増してきます。鍋には最高と消費者の方々から喜んでいただき、JAみな穂の「やわらか雪白ねぎ」のファンは増えてきています。
   

出荷はどちらに?

   すべて農協です。野菜も米も。
   

きゅうりや白ねぎが、それほど人気が上がるようなものでしたら、他にも販売ルートが開けるのでは? あるいは栽培面積を増やすとか。

   今は私がメインで、母が少し手伝ってくれる程度なので、販売ルートを開拓するといっても、営業のマンパワー、販売管理のためのマンパワーが割けません。販売ルートを広げるといっても、野菜は地元で消費するのが一番だと僕は思っていますから、地元でいくつも流通経路を持つのは混乱の元になる可能性があり、それは避けたいと思います。一方、栽培面積を増やす点に関しては、連作障害が出ないよう畑をローテーションさせないといけないので、今くらいが限度です。ハウスそのものを増やすことに関しても、現状では手が回らなくなるので現実的ではありません。
   

収入の状況は?

   現実的なことをいいますと、サラリーマンの時より減っています。米の場合は1俵いくらと取引相場はだいたい決まっていますが、野菜は結構変動します。ですから下がった時はたいへんです。でも僕が米より野菜に力を入れるのは、面積あたりの収益は野菜の方が断然高いからです。
   

では、より収益性の高い野菜を導入することは?

   露地栽培でキャベツを少しつくってみましたが、相場が安く、収益性の高い野菜に変える可能性はあります。ただ、実行となるとなかなか難しいところもあります。例えば栽培技術の問題。家庭菜園の延長と、商品として出荷するのとでは、求められる品質のレベルがまったく違います。
   

厳しい現実がありますね。

   本当のことです。就農すべてがバラ色ではなく、これからの新規就農者に現実を知っていただきたい。
   

就農から9年近く経っていますが、今までの経験から、更に収益性を上げるには?

   現在、鉄骨ハウスとパイプハウスで9棟のハウスがあります。もう少しハウスを拡大すれば、事業としてそこそこやっていけるのではないかと思います。
   

その場合は、パートか何かの形で人手も確保しないといけないですね。

   そうです。一気にそこまで設備投資することはできませんが、規模を拡大することは、夢として持っていたいと思います。
 現実は中々厳しいのですが、夢を持って働くと楽しいので……。
 

  ■現在の経営状況
野菜施設栽培(きゅうり、白ねぎ、オータムポエム) 18a
水稲(米) 2.4ha


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