わたしの体験談
大学校で学ぶなど得難い経験もしています
氏 名
年 齢
就農地
就農年次
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五十里 圭樹(いかり けいじゅ)
25歳
入善町
平成19年
【法人就業/(有)ドリームファーム】
— 就農までの経緯を教えてください。
高校は農業科でしたが、3年生の夏までは部活に明け暮れました。秋になって就職を意識し始めた時、2年生の夏に5日間実習させていただいた、ここドリームファームのことを思い出し、担任に相談しました。先生は賛成してくれ、高校からも推薦していただき、卒業と同時に働くようになりました。ところが働き始めて2年した時、当社の会長から、「つくば市にある農業者大学校で勉強しないか」と勧められました。
— 会長は何か狙いがあったのでしょうか?
水稲以外にも視野を広げ、売ることも考えた農業を充実すべきだと考えておられたようです。それを専門的に、誰かが勉強しなければいけないと思い、当時一番若かった僕に打診してきたようです。僕も、それは大事なことだと思いましたので大学校に行くことを決め、水稲の基礎を学ぶとともに、経営やマーケティング、業務用野菜などの授業を多く選択して、2年間学びました。そして再び、この会社で働くようになったのです。
— 勤務先では多角化が進んでいますね。
水稲50ha、大豆40ha、各種野菜4haの他に、切り花用のチューリップを18万本ほど出荷しています。また、ここでとれた大豆や米を食品工場に持ち込んで、ミソ、米粉ラーメン、米粉うどんに加工し、当社ブランドで販売しています。野菜も近くのスーパーに卸す一方、当社の直売店でも扱っています。これ皆、会長のアイデアで進めてきました。
— 農業者大学校で学んだことで、生かされていることは?
在学中にさっそく実践が始まりました。東京・有楽町などで催されている産直野菜が販売されるイベント「マルシェ」に参加するようになり、土日はその手伝いにつくばから通いました。商品のディスプレイやポップづくりも、学びながら応用するようになりました。卒業後、マルシェの担当は僕になり、今日では月平均2回、首都圏の会場で米や加工品も販売しています。販売を念頭においた生産は、いつも意識するようになっています。
— マルシェでの売れ行きはいいのですか。
出店するのは週末ですが、一概にはいえません。例えば3連休の時に出店しても、観光客ばかりでほとんど売れません。いつも有楽町に買い物に来られる方は郊外に行っておられるのです。マルシェへの出店は、そこでの販売より宣伝にあり、後から本社の方に注文をいただくお客様を開拓することを目的にしています。
— 就農して8年になりますが、感想は?
当社は人間関係もよく、将来性のある会社だと思います。それは大学校で学んだことなどから判断できることで、よい経験をさせていただきました。横浜のマルシェでは、毎回ご来店いただき、昼食用の弁当をつくってきてくださるお客様がいます。農業で、末端のお客様とこういうお付き合いができるのはありがたいことです。一方で、2年間現場を離れたため、効率的な作業の仕方や技術的なことで、同世代の青年農業士に遅れを取っているのではないかと心配になることがあります。この点は、追いつく努力をしていきます。
— 就農を考えている人へアドバイスを。
農業を取り巻く環境は、急速に変わりつつあります。雇用環境、消費者の嗜好とそれを反映した市場環境など、各種の要素が関連して変化しています。それらを先輩に詳しく聞いて、また自分の将来の計画もしっかり立てて就農したらいいと思います。後から「こんなはずではなかった」にならないためにも。その上で働きながら勉強を続け、自分自身も変化・成長していく必要があると思います。