わたしの体験談
6次産業の視点で見ると農業は総合ビジネス
氏 名
年 齢
就農地
就農年次
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岩倉 駿(いわくら しゅん)
26歳
南砺市
平成18年
【自家就業】
— 就農までの経緯を教えてください。
祖父が専業農家を始め、父が拡大してきました。子どもの頃から2人が働く姿を見てきましたが、正直なところ自分が就農するとは思ってもいませんでした。小学生の時は、少しは手伝いましたが、中学に入ってからはほとんど手伝わず、正直なところ「農業ってダサイ」と思っていました。仕事も農業とは関係のない職種に就きました。
— それにもかかわらず、後に自家就農されたのはなぜですか?
中学の頃から僕はやんちゃなところがあって、父に迷惑をかけました。働くようになった時、いろいろフォローしてくれた父のありがたさがわかりました。それで恩返ししなければいけないと思い、父の下で働くことにしたのです。
— こちらの経営概要と岩倉さんの担当を教えてください。
水稲約38ha、大豆28ha、他にはくさい、にんじん、たまねぎなどを少し。これを父と叔父、兄、僕、僕の嫁さんの弟の5人で見ています。僕はトラクターやコンバインなど機械を扱うことが多く、栽培計画や水の管理は父がしています。
— 特徴のある栽培方法などを取り入れているのですか?
米の一定量は契約栽培による酒米で、酒造メーカーに納めています。一般販売用の米はアルギット栽培しているため食味が極めてよく、値段は少々高いのですが、すぐに売り切れてしまうほどの人気商品になっています。よく、「他所の会社で修業してから家業に……」といいますが、米づくりに関しては、僕は最初から父に教えてもらってよかったと思っています。にんじんも今年(平成26年)はアルギット栽培にしました。
— 農業法人の有志が共同出資して、ラジコンヘリによる防除の会社をつくり、岩倉さんはそちらでも活躍されているそうですね。
父も出資し、僕はヘリのオペレーターをしています。旧井波町はもちろんのこと県内各地から防除の依頼があり、時には県外出張もします。防除面積は恐らく500haは超えているでしょう。オペレーターの技能を競う大会があって、県大会3位以内は全国大会に参加することになっていますが、僕は過去何度も全国大会でヘリを飛ばしました。
— ヘリの操作は難しいのですか?
風に煽られて失速する、木や電柱・建物などの構造物にあたるなど、結構、事故が起きています。ヘリ1機の値段は1000万円を超えていますから、破損した場合の損失は極めて大きい。僕らは無事故できているため、防除を依頼される面積が年々増えています。
— 今後の目標を教えてください。
一つには経営規模の拡大です。ここの経営者は父ですから、最終的には父が決めることですが、水稲は50haくらいまで拡大してもいいのではないかと思っています。ウチには5人いますから、1人平均10ha。そのためには、僕ら若手が育たなければいけません。
また僕は、これからの農業は待ちの姿勢だけではダメで、自分たちで売るところまで考えないといけないと思っています。僕が属している砺波の青年農業士協議会では、先進地の視察などに行きますが、訪問先の皆さんは自立の精神が旺盛で、いろいろ工夫してがんばっておられます。砺波の青年農業士の仲間と話してみても、農業の6次産業化について高い意識を持っていて、刺激を受けます。僕は昔、農業ってダサイと思っていましたが、6次産業の視点で見ると、農業は総合ビジネスでやりがいのある仕事だということがわかってきました。