就業のきっかけは?
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魚津漁業協同組合が、漁業就業希望者を対象に行っている一日体験に、まず参加してみました。そこから、もっと多くの経験を希望すれば2〜3ヵ月間、実際に水産会社や漁師の下で、漁を体験することができるという制度です。この間の食事や給料も保証されています。海の仕事が自分に合っていると実感し、それで今は組合員になって定置網漁をしています。これで3年になります。
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なぜ漁師に?
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もともと体を動かすことが好きなんです。学生時代は、サッカーとトライアスロンに熱中しました。大学を出て、いったんは労働福祉事業団(現・労働者健康福祉機構)に就職し、労災病院の事務を担当しましたが、デスクワークには満足できませんでしたね。石の上にも3年と思い、6年間は辛抱しましたが、体を使って働きたいという欲求がますます膨らんでいきました。事業団を辞めて、そこから自分に合う職業探しの旅をはじめたんです。30才のスタートでした。
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いろんな職業を体験したそうですね。
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ええ。6年間のデスクワークの反発からか、無性に自然の中へ身をおいてみたくなったんです。自転車にテントを積み、まず北海道各地を回って見聞を広めました。その後は、長野にある八ヶ丘中央農業実践大学校で農業を体験し、高知県では室戸岬漁業協同組合で漁業を体験をしました。新潟の村上市で林業も体験したし、とにかくいろいろ経験しましたよ。そして選択したのが、今の職業です。
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転職して良かった?
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決断できたのは、妻の一言。自分の職業観を理解してくれ、「好きなことをやってほしい」という、あの言葉がなければ踏み切れたかどうか。収入は、漁がある月とない月では3倍ほどの開きがありますが、それは最初から覚悟をしていたので気になりませんね。漁に出るのは深夜0時で、港に戻って水揚げをするのが翌朝の5時。団体職業時代、自宅に寝に帰るだけという毎日と比べ、今は自由な時間が持てて、好きなこともできる、このライフスタイルが気に入っています。
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うれしかったこと、つらかったことは?
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巨大な網が徐々にすぼまり、魚が跳ねている様子がだんだん見えてくると、もうワクワクしますね。一日に3000匹のブリがとれたこともあって、あれはうれしかったですよ。つらかったことは、漁師になりたての頃、段取り悪くて先輩に叱られた時。船の仕事は、チームワークが大切なんです。最近は時々先輩から褒められるようになりましたが、まだまだ経験不足、技術不足を痛感することはあります。早く一人前の漁師になることが、目下の夢です。
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新規就業をめざす方へメッセージを。
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仕事が好きかどうか、思い入れの強さが大事。以前の職場ほどではありませんが、どこで働いても人間関係などいろいろ問題はあります。実際、同期で辞めた仲間もいますが、仕事に対する情熱があればきっと乗り越えられると思います。しっかり熟考した上で、転職することが成功のポイントです。
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