「農業経営者」を目指して、大奮闘!

氏 名
年 齢
就農地

就農年次




松原 玄(まつばら げん)

29歳
入善町
平成22年

【自家就農】

― 現在の経営の概要を教えてください。

 米を約9ha生産しています。入善はまず水がいいですし、それにここは山に近いので、「あらせ」といって朝晩に山からの吹き下ろしの風が強く吹くんです。それが米に適していまして、収量がよく獲れます。それから黒部川の扇状地ですので、砂壌土、これも米には良いのです。おいしい米ができます。
 とても米作りに適した土地柄なんですが、農家の高齢化で辞めてしまう人が多くて…。私たちのような若い世代が頑張って、継承・継続させていきたいなという気持ちで今日までやってきています。

― 就農のきっかけは?

 もともと祖父が米農家で。小さい時から祖父の手伝いをしていて、なんとなく、当たり前のように農業の道に進みました。高校も農業学校に行って。その後、県外の専門学校に2年間通いまして、野菜関連の知識をひととおり学び、実家に帰ってきて就農しました。

― 実際に農業を始めて、どうでしたか?

 最初は、結構簡単に考えていました。単純に子どものときからの手伝いの延長で就農したので。また、就農した初めの年が結構品質がよかったのですよ。だから尚更、農業ってこんなものか、経験がなくても技術がなくてもやっていけるのか、なんて思って…。
 でも、その次の年にガクッと収量が減ってしまったのです。ショックでしたが、逆に燃えました。根が負けず嫌いなので。そのとき初めて気持ちが奮い立ったというか、やってやるぞという気になったので、今から思えば失敗してかえってよかったなと思います。

― 就農して6年経ちましたが、農業に対する今の思いをお聞かせください。

 小さいころから農業が生活の一部だったので、今も農業が仕事だという感じは薄いです。自然な流れで、ここまでやってきました。それで最初の一、二年は何も考えず、ただがむしゃらに作業していただけだったのですが…。最近思うのは、「農業者」と「農業経営者」は違うなということです。
 農業をただやる人は農業者で、農業を「続けていく」人が農業経営者。私たちは農業経営者にならなければいけない。農業に限らず、何かを仕事として続けていくためにはまず、収益を上げなければいけないですよね。それって普通の企業なら当然のことなのに、古い農家さん達は結構、そういうことを軽視しがちといいますか…。田んぼを維持したい、自分たちの食べる米くらい自分で作っていかなきゃという思いは伝わるのですけど、農業を「仕事」にしているという感じではないのではないかな。自分も最初はそういう感じで就農したのですが、でも今、それだけでは駄目なのだと強く感じています。ただ作物を生産するだけではなく、たとえば販売や、営業、マーケティングにも力を注いでいかなければならない。経営者として、トータル的な視点を持って農業に取り組まなければいけない、と。

― 今後、新たに取り組んでみたいことは?

 現在は農協にすべて出荷していますが、いずれは全部自家販売にしていきたいと思っています。私の名前が「玄」なので、米にぴったりじゃないかと自分で思うのです。そういうところも宣伝に活かしたりして、うまくアピールしていきたいですね。
 あとは、とにかく規模を大きくしていきたいですね。米一本でやっていくのか、野菜等いろいろやるのか、自分でもまだ方向性は決めていないのですが、いろいろ含めてもっと生産量を増やしたいです。それで今年はまず、ジャンボスイカの試験栽培を始めました。来年から、面積は少ないですが本格的にやっていくつもりです。


― これから就農を考えている方にメッセージを。

 私は農業が天職だと思っています!ただ農業自体は天候に左右されるので、根気の良さや、多少の失敗ではくじけず、むしろ失敗をバネにして頑張るくらいの強い気持ちが必要かなと。
 日本の食糧は俺らが支えている!くらいの気持ちがあれば、やりがいのある仕事だと思います。自分で何かやりたいという気持ち、独立心のある人は、農業をやってみてもいいのじゃないでしょうか。