わたしの体験談
転職してよかった。忙しいけど楽しさがある
氏 名
年 齢
就農地
就農年次
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松田 晋弥(まつだ しんや)
34歳
入善町
平成20年
【法人就業/(有)ビガーラスファーム】
— 就農までの経緯を教えてください。
生まれも育ちも神奈川県です。大学では電気工学を学び、大手電気製品メーカーにエンジニアとして勤めました。担当は基板の設計です。設計部署の勤務実態は過酷で、入社してしばらくして、家には寝に帰るだけになりました。そのうちに私が設計した機器が動いたのを見ても感動しなくなったのです。入社して3年した時、「このままではダメだ」と思いつつも、一方では「もう少しがんばってみよう」、という声が内側から起こってきました。その後さらに3年ほど仕事を続けたのですが……。
— 変化がなかった?
そうです。それで結局、会社を辞め、体を動かす仕事をしたいと考えながら、池袋駅の近くを歩いていると、富山県のUターンフェアが開催されていたので立ち寄ってみました。実は両親が富山県出身で、なんとなく親しみがあったのです。会場に入ると、富山県農林水産公社のブースがあり、話しだけでも聞いてみようと思って入りました。すると担当の方が、富山で就農が可能だと話され、にわかに農業に関心を持つようになったのです。また間を置かずに今の勤務先を紹介していただき、前職を退職してから1カ月半ほどしてここで働くようになりました。
— 実際に働いてどうでしたか?
以前の私の農業のイメージは、おじいさんとおばあさんが、晴れた日に野良仕事をしている、というものでした。映画などで見た、のどかな農村風景です。ところが、のどかさはどこにもなく、初日は挨拶もそこそこに田植えの準備を手伝い、それから1カ月半以上は田植えの準備と田植えのアシスタントに明け暮れ、休みがない状態でした。しかし今度の忙しさでは、前のような「この仕事は向いていない」という思いが湧いてこなかったのです。そのうちに、楽しさを感じるようになり、農業を続けようと決心しました。
— 就業先の経営概要を教えてください。
水稲24ha、大豆16ha、ほかにソバ1haとプチベールという野菜をハウス2棟で栽培しています。水稲24haのうち1/4、つまり6haは種もみ用です。種もみ用の米の栽培には、食用に比べて倍以上の労力が必要で、大変なところがあります。このうち私は水稲と大豆を主に担当し、機械のオペレーションを中心に仕事をしています。
— 就農して7年になりますが、感想は?
転職してよかったと思います。前の職場では、仕事が早く終わらないかばかりを考えていましたが、今はそんなことはありません。大型特殊やフォークリフトなどの資格もとり、立山連峰を眺めながら運転するのは楽しいものです。特に楽しいのは収穫の時。黄色く実った米を刈り取り、新米を食べた時の感動といったら、例えようがありません。新米を両親に送ると、とても喜んでくれます。また今の仕事に変わって、本を読む時間が増えたこともよかったと思います。
— 将来に対しての抱負をお聞かせください。
個人的には、米づくりの高い技能を習得し、ここの大規模化のお役に立ちたいと思っています。規模を大きくしたら、新しい展開の可能性も出てくると思います。また今、私は県の青年農業者協議会の副会長をしているのですが、雇用環境改善のお役に立ちたいと考えています。前職の、労働環境には大変厳しいものがあったのは事実ですが、福利厚生などは非常に充実していました。そういう点は評価できるところで、農業の業界でも改善の余地があります。ただこれはあまりにもテーマが大きく、全国の仲間との連携も必要になってくるでしょう。みんなで日本の農業を元気にしたいと思っています。