農業は、楽しい!うれしい!おもしろい!

氏 名
年 齢
就農地

就農年次




宮岸 智志(みやぎし さとし)

31歳
南砺市
平成16年

【法人就農】

― 勤務先の経営概要を教えてください。

 私が勤めている「有限会社カナダ農園」では、今年は米が58haほど、大豆30haほどを生産しています。
 アルギット栽培をメインにしていまして、水稲の中でも24haをアルギット栽培でやっています。アルギットというのは、ノルウェー産の海藻です。これを肥料として使うことで、土の中の微生物が増えて土壌がきれいになり、作物が元気に育つんです。だから農薬の使用も、従来の半分以下に抑えることができます。このアルギット米を「育(はぐくみ)」と名付けまして、弊社プライベートブランドで販売しています。
 また米の乾燥方法にもこだわっていまして、よそでは火力で乾燥させるのが普通なんですが、弊社では常温除湿乾燥で仕上げています。自然の風を入れて、じっくりと乾燥させるんです。こうすることで天日干しに近い風味が出て、米がより一層おいしくなります。

― 就農したきっかけは?

 実家が兼業農家で、子どもの頃から曾祖母の畑仕事の手伝いをしていて。家の前に畑があって、曾祖母といろんな野菜を作って収穫して、そのときの畑仕事をしながらの会話も楽しかったし、種をまいてから収穫までの喜びが、とても思い出に残っていて。
 それで高校も、福野高校の農業環境科に進学しました。そしたら高校での農業実習も、やっぱり楽しくて。だから仕事にするなら、農業が一番続くんじゃないか、自分に向いてるんじゃないかと思い、就農しました。

― 農業をやっていてよかったことは?

 大きな機械に乗れるのが楽しいです。私は車の運転も好きなんですよ。だからトラクター70馬力以上とか、そういうのに乗っていると家のトラクターとは全然違って楽しいです。会社に入ってから大型特殊の免許、ラジコンヘリの免許を取りました。病害虫防除で、ラジコンヘリを飛ばして農薬をまくんです。そういう機械を触ったり、運転するのがおもしろいですね。
 あとうれしいのは、近所の人から「お疲れ様」とか言われて、ジュースをいただいたりしたとき。何気ない会話ややりとりが楽しいです。近所づきあいというか、地域の人と交流する機会が多いのがいいですね。

― では、苦労された点は?

 夏場などは、暑い中の草刈りが辛いですね。春の土づくりも大変な作業です。トラクターで土を起こしたり、代かきしたり。代かきというのは、田んぼを均平にならすことで、これが一番大事なんです。これによって水の管理にも差が出てきます。きちんとされていないと、水はけが悪くなってしまいます。
 今年の秋は、長雨で苦労しました。なかなか稲刈りができなくて。本当はもう刈るべき時期なのに、雨で刈れない時期が続きましたね。あとは風の被害。井波は特に、4、5月あたりに南風が強く吹いて、ここ毎年のように被害が出てまして。ハウスのビニールが飛んでしまって、その中にある苗が駄目になってしまったり。今年はハウスの前にトラクターを並べて風よけにして、それで少し防げたんですが…。

― 地域の方々との交流や、農業の仲間との関わりについて教えてください。

 田んぼで会った人と挨拶したり、ちょこちょこ会話したりはしていますね。
 あと、砺波地域の青年農業者協議会というのがありまして。若い農業者の集まりなんですけど、それには参加しています。およそ30人くらいで集まって、今どんな作業をしているとか、今うちでこんな問題があるんだけれどそっちはどう?とか相談したり。まあ飲みながらですけど(笑)。アドバイスをもらったらそれを会社に持ち帰って、社内でも共有するようにしています。

― これから就農を考えている方へのメッセージを。

 野菜なら一年に何回か収穫できますが、水稲は一年に一回きり。ですから簡単に身につくものではないですし、気軽に始められるものでもないんですけど。
 でもそのぶん達成感は素晴らしいです。水稲は収穫してすぐに次の作業が始まります。一年間通してやっての秋の収穫なので、本当にやりがいのある仕事です。
 それに米は、日本人の主食ですから。それを自分達が作っていることに、誇りと喜びを感じられる仕事だと思います。