農業をより魅力的な職業に

氏 名
年 齢
就農地

就農年次




柴田 泰利(しばた やすとし)

34歳
砺波市
平成19年

【自家就農】

― 現在の経営の概要を教えてください。

 有限会社泰栄農研は、庄川で有名な種もみをメインで約35ha、飼料米を約8haと、大豆の種子も17ha作っています。 メインは主穀作ですが、転作で野菜の生産量を増やしていて。 トウモロコシ、キャベツ、大カブ、温室トマト、小松菜、イチジクなども栽培しています。

― 野菜は温泉水で育てておられるんですよね、どういったものなんですか?

 庄川の温泉水は全国のいろいろな温泉水と比べて、非常に良いミネラル成分がすごく濃くて、それがまんべんなく含まれてるんです。 それを野菜に与えて育てたら食味のほうが上がるので、他と比べてもおいしい野菜だねというふうには言っていただいてます。
 また、庄川の温泉水なので、地元循環ということでさらにいいのかなと。

― 種もみについて詳しく教えてください。

 お米の種子ですね。富山県は昔から県間流通日本一の種もみ生産県で、その中でも最大の産地が庄川・中野地区なんです。 全国のブランド米のもとになる種を、約40品種生産して出荷しています。 例えば、あきたこまち・ミルキークィーンなども、ここで作った種もみから栽培されているんです。

― 「泰栄農研」という社名は、やはり泰利さんとお父様(栄告さん)のお名前から?

 そうです。20年以上前、個人でやっていた時からこの名前で。 だから父の中では、最初から私に継がせる前提だったというか。 大学に行って少し就活もしましたが、どうせ家業を継がなくちゃいけないのなら、 どこかの会社に勤めてから辞めて…というよりは、少しでも早く始めたほうがいいかなと思って。 帰ってきて就農しました。

― 就農の前後で、農業に対する思いやイメージに変化がありましたか?

 昔と比べ、最近は若い人で農業をやってみたいという人が増えたように思います。 私のように事業継承という形ではなくて、従業員として就農する方も多いです。

― 若い方が増えると、会社を盛り上げる力になりますよね。

 今日もまた1人、20歳の女性が入社されました。 女性が入るとやっぱり職場が華やぎますね。男性社員の士気も上がります。 今は男性社員が31、35、40歳の3人と、女性社員が20、20、23、24歳の4人。全部で7人です。

― 農業を通じて地域の方々とのつながりも多いんでしょうか?

 現在、富山県の青年農業者協議会の会長を務めています。 その会で年に一回、意見発表という、農業に対する自分の思いを発表する場と、 プロジェクト発表といって、その地区の仲間でひとつのプロジェクトを立ち上げて、発表する場があって。 富山県で発表したら次は北陸ブロック、その次は全国大会…というふうに徐々に勝ち上がっていけるんです。
 そうやって県外の方ともお会いしていると、経営について明確なビジョンを持つことの大事さをあらためて感じます。 自分がきちんとした考え方を持っていないと、いろんな方と出会ってもろくに話もできないので。

― 今後の目標や抱負、新たに取り組んでみたいことはありますか?

 とりあえず、仕組みを作りたいなと思っています。 農業そのもののやり方やノウハウ、それから会社の組織作りも。 今、農業はあまりそういうことが整理されていないから、就農してから一人前になるまで時間がかかってしまう。 仕組みが整っていれば、もっと早く一人前になれるし、早くに高収入を上げることもできて、農業がもっと魅力的な職業になるんじゃないかと思います。

― これから就農を考えている方へのメッセージやアドバイスを。

 農業は、思い通りにいかないことも多く、厳しい仕事です。 でも食べなければ人間は生きていけないので、なくなる仕事ではないというのも確か。 だからやり方次第です。頑張ってほしいですね。