体が細く「持たない」と思われていましたが……

氏 名
年 齢
就農地
就農年次




内田 祐介(うちだ ゆうすけ)

29歳
砺波市
平成18年

【法人就業/(農)頼成営農組合】

— 京都府の舞鶴市出身ですね。富山県にこられた経緯は?

 富山県立大学の短期大学部に進学したのを機に富山に来ました。短大では生物資源学科に学び、将来は植物を育てる仕事につきたいと思っていました。

— 農業に関心を持ったのはいつですか。

 短大2年生になって就職を意識し始めた時です。大阪で就農相談会があったので行ったのですが、そこで富山県農林水産公社のブースを見かけ、声をかけました。その時、富山で就農のチャンスがあると聞き、後日、今の勤務先・頼成営農での農業実習を紹介していただきました。それを受けて、就農を決意しました。両親は「まあ、がんばれや」という感じでした。ただ父親は、私の体が細いので「続けられるか?」と心配していたようです。

— 実際に働き始めてどうでした?

 真夏には大量の汗をかき、体力が持たず休ませていただいたこともあります。でも体を動かすコツを覚えてくると、続けることができるようになりました。3年目からはトラクターなどの機械も少しずつ任されるようになり、次のステップの仕事ができることがうれしかったのを覚えています。

— 勤務先の経営概要と、内田さんの担当について教えてください。

 水稲78ha、大豆3.5ha、大麦33ha、リンゴ1.5haです。私は主に水稲、大豆、大麦を担当し、播種から収穫までの作業を先輩の指示の下で行っています。ここに入って9年ですが、まだ修業中です。

— 仕事に充実感を感じるのはどんな時?

 昨年できなかったことが今年できるようになった時です。例えばトラクターで田んぼを耕すのでも、畦際もきれいに耕すのは難しく、後から鍬で起こしたことが何度もあります。先輩から真っすぐに耕すコツを教えてもらい、試行錯誤を繰り返すのですが、それができるようになった時は本当にうれしい。日々の仕事はその繰り返しで、仕事をひとつ覚えるごとに充実感に満たされます。
 また作物がだんだん生長し、実ってくるのを見ても本当にうれしくなります。そして収穫した米やリンゴを両親や祖父母に送ると「おいしい」とすぐに電話をくれます。その時の充実感も最高です。

— 実際に働いてみて、学生の頃に思っていた農業と違う点はありますか。

 農業はもっと孤独なものだと思っていました。家庭菜園程度なら確かに1人です。でも大規模化してくると、役割分担はあるものの、協力し合う場面も多いので孤独感はありません。また私は、農業にはあまり若い人はいないのではないかと思っていましたが、ここには12人が働いていて、平均年齢は30代半ばくらい。私より後から入った人も2人いて、にぎやかです。

— 将来の目標は?

 まずは技術的な点で先輩方に追いつくことです。また新しい作物にも挑戦してみたい。組合長の発案で、トマトやトウモロコシなどの栽培を試みているところで、将来そういう新規分野も任されるくらいの知識や技術を習得しておきたいと思っています。

— 新規に就農を考えている方へのアドバイスを。

 私が在学した短大には付属農場があり、栽培やトラクターの運転もしました。でもそれは農作業の一部を体験したようなもので、大規模な農場の感覚とはまったく違います。僕は頼成営農で2カ月間、住み込みで研修を受けましたが、農業法人への就業を考えている方には、農林水産公社などに相談して、実習を受けることをお勧めします。