和田さんのところは、お父さんの代から専業になっていますね。 |
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そうです。じいちゃんは兼業農家で、3haほど米をつくっていました。事業としてやり始めたのは、私の父親です。今では、米10ha、ハトムギ16ha、ほかにタマネギ0.2haほど。一番力を入れているのは米です。 |
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有機JASにそった栽培をされているとうかがっていますが……。 |
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10ha全部を有機栽培するのは手間がかかりすぎてできないので、今は2.5haほどです。ハトムギも0.5haほどが有機栽培です。 |
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有機栽培のお米、つまりごはんはそんなにおいしいのですか? |
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私たちは慣れてしまっているので、これが当たり前の感覚になっている。でも、外で食事する時は、ごはんの味の違いがはっきりわかります。 |
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有機栽培はいつごろから? |
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最初の試みでいうと、確か10年近く前だったと思います。田んぼの整備に3年ほどかかり、3年目に収穫したお米を炊いて食べた時、じいちゃんがいったのです。「うまい。昔の米の味がする」と。それまでじいちゃんは、「こんな草だらけの田んぼにして……」と、父の有機栽培の試みを評価している様子ではなかったのですが、そのごはんを食べてにっこりと笑ったのです。当時私は25歳。ある会社でサラリーマンをしていましたが、「米づくりって面白いんだ」と思って、辞表を出しました。 |
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それは就農するために? |
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そうです。ところが上司から、「あと5年会社勤めをして、社会勉強をした方がいい」と説得されて残りました。その5年後、30歳になった時に改めて辞表を書き、退職したのです。 |
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就農してから4年が経ちますが、どうですか? |
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楽しくて楽しくて仕方がありません。元々の性に合っていたのでしょうが、近所の人や知り合いに「今日もやっとるか!」と田んぼでいわれるとウキウキしてきます。父の知人の紹介で、東京のデパートで有機米の販売をさせていただいていますが、「新潟の米よりうまい」といわれると、本当にうれしい。 |
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そのおいしさの秘訣は? |
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肥料のつくり方とやり方です。元々の微生物肥料は、一般的に販売されているので誰でも入手できますが、それを堆肥その他とブレンドして醗酵させます。その醗酵した肥料を、ある濃度に薄めて撒く。この有機米、普通のお米の3倍くらいの値段で売られているのですが、ここまでくるには、父も相当の試行錯誤を繰り返してきました。 |
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そこまでの評価をいただいているのなら、もっと有機栽培米の作付面積を増やしたらいいのでは? |
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母親も少し手伝ってくれるので、2.5人分の手はあるのですが、先ほども申し上げたように有機栽培はものすごく手がかかる。例えば除草作業には機械を使いますが、完全ではないので手作業もします。中腰での作業は体への負担も大きく、今の2.5haが限界です。 |
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ハトムギの将来性についてはどうですか? 地元の自治体やJAも力を入れているようですが……。 |
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ハトムギについては、小矢部は、作付面積も収穫量も県内一番になってきました。今のところは、お茶での利用がメインですが、ブランド化して、「ハトムギ=小矢部」あるいは逆に「小矢部=ハトムギ」と、全国の方に知っていただけるようになったらいい。 |
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具体的な商品開発のイメージとかは? |
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すぐに実現できるかどうかは別として、僕はこんな夢を持っています。例えばハトムギから油を搾って、オリーブオイルのようなものをつくれないか。あるいはマッサージ用のオイル、お風呂で使うオイル、そして化粧品で使うオイル。ハトムギの生産、健康と美容にいいハトムギオイルの生産地のイメージを小矢部市に持たせることができれば……、と。 |
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そういう夢を、年齢の近い就農者に話したことは? |
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あります。面白いとはいってくれますが、それをどう実現するかとなると皆「夢物語だ」になってしまいます。 |
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加工技術の開発支援、商品開発の支援、販売促進の支援など、県や国の支援プログラムもあります。 |
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そういうのを利用するのもひとつの方法ですが、その前に若い者の間でワイワイガヤガヤするのが楽しい。父も、別な観点からハトムギの利用を検討しているみたいです。 |
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ところで和田さん、いずれ結婚して、将来子どもを持つようになると思うのですが、その子が大きくなって「農業をやる」といったらどうしますか? |
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「自分で考えてやるのならいい」というと思います。僕が就農するといい出した時も、父は一言だけいいました。「本気なんだな」と。「本気だ」と答えたら後は何もいいませんでした。その後の実際の仕事も“オレのやり方をみて覚えろ"のタイプで、言葉ではほとんど教えてくれません。
でも実際この4年やってみて、後悔はしていません。 |
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■現在の経営状況
水稲(米) 10ha(内2.5ha有機栽培)
ハトムギ 16ha(内0.5ha有機栽培)
タマネギ 0.2ha |