いずれは100%直販を目指しています

氏 名
年 齢
就農地
就農年次




山本 亮一(やまもと りょういち)

35歳
砺波市
平成18年

【法人就業】

— 子どもの頃の農業の印象は?

 祖父や父の職業が農業だということは子どもの頃からわかっていましたが、自宅と倉庫兼作業場が離れていたためか、よくいわれる「農業は大変」というイメージはありませんでした。それより時々、大型のトラクターに乗せてもらったりしていたので、むしろ「格好いい」と思っていたほどです。

— その印象は大きくなるまで続きましたか。

 小学校高学年の頃には、なくなっていたと思います。高校も工業高校に進み、普通の会社に就職しました。私は、富山弁でいう「あんちゃん」(長男)ですから、祖父も父も後を継ぐのを期待していたと思いますが、無理に勧めることはありませんでした。

— 再び農業に関心を持ったきっかけは?

 サラリーマンとして働くうちに、毎日同じことをし、そして上司や先輩に指図されることに違和感を覚えるようになりました。そうしたある日、父が収支に関する帳簿のようなものを見せてくれました。25歳の時です。それは決算書だったのかもしれませんが、そこに書いてあった数字の意味は本当のところ、よくわかりませんでした。でも私はそれを見て、「農業ってこんなにもうかるのか」と希望を持つようになったのです。それで会社を辞め、家業を継ぐことを決めました。

— 実際に働き始めてどうでしたか。

 現実は甘くありませんでした。最初は下働きばかりで、「もう辞めよう」と思ったほどです。ところが3年ほどした時、田んぼの耕作を依頼され、単に米をつくっているだけでなく、地域の自然や景観を守っている、ということがわかってきました。またその年、「米価が下がって大変だ」と農家の間で盛んにいわれていましたが、“もうかるように事業の進め方を変えたらいいのでは”と思いました。そういう経験の中で、農業に本腰を入れるようになり、それ以来の7年は楽しんで仕事をしています。

— 現在の経営内容を教えてください。

 水稲(コシヒカリ)11ha、もち米3ha、飼料米4.5ha、大麦・大豆11haです。これを私と父、従業員2人で回しています。

— その中での山本さんの担当は?

 機械のオペレーション全般と栽培管理、そしてその年の収穫量や品質を評価して、来年の作付けや栽培管理の計画を立てています。収穫量や品質が落ちた場合は、どこに問題があったのかを検証して、翌年の栽培管理に生かすようにしています。

— 栽培管理の計画を立てるには、稲作の技術について詳しくないと、できないのでは?

 農業系の高校や大学を出ているわけではないので、稲作の技術的な解説本の他に、農業経営などの専門書も買って、一生懸命に勉強しました。おかげで読書が趣味になり、農閑期には月平均5冊くらい、忙しい時でも月に1冊は読むようになりました。

— 栽培技術や農業経営について詳しくなると、何か新しいことにチャレンジしてみたいと思いませんか。

 現状では、生産物の約4割を直販し、残りの6割を農産物を扱う商社に卸していますが、直販の比率を徐々に高め、いずれは100%にしたいという夢を持っています。それを実現するための1歩として、4年前から東京で開催されているマルシェに出店するようにしています。また、当社単独では100%直販は難しいので、例えば野菜専門の農家・農業法人との連携も必要だと思うので、そのネットワークづくりも試みているところです。