「農業って奥が深い」と実感しています

氏 名
年 齢
就農地
就農年次




藤井 護(ふじい まもる)

35歳
砺波市
平成23年

【自家就農】

— 就農までの経緯を教えてください。

 長男で、子どもの頃から作業を手伝っていましたので、いずれ自分は家業を継ぐだろうと考えていました。中央農業高校、富山県立大学短期大学部で農業について学んだのも、そのためです。ただ卒業後は、ある農機具メーカーに勤めました。社会勉強をするとともに、農機具の営業をしながら機械のシステムやメンテナンスについて詳しくなりたかったからです。就農したのは30歳の時ですが、そのタイミングになったのは、中心的にやっていた祖父がその2年前に亡くなり、“二足のわらじを履く”ような形で祖父の仕事を引き継いだのですが、それも限界だったので専業になりました。

— 現在の経営内容は?

 水稲(種子)6ha、水稲1ha、大麦(種子)3.7ha、大豆(種子)6ha、ネギ30a、ねぎたん♩♩3a、ニンジン3aです。ウチはもともとは種もみがメインで、転作奨励などもあって祖父の代に大麦、大豆、ネギを始めました。私が引き継いでからは、何か新しいことに取り組んでみたいと思い、ねぎたん♩♩とニンジンを加えました。これを私と母、祖母で栽培し、すべて農協に出荷しています。

— 種もみは普通の水稲に比べて倍以上の労力がかかるから、3人では大変では?

 それぞれの収穫時期が重ならないように作付けや栽培管理で調整しています。

— ねぎたん♩♩は富山県が開発した新しいネギですが、実際にやってみてどうですか?

 ここ2年ほどは上手くいきませんでした。収穫間際になって虫の食害にあって出荷できず、被害を受けなかったわずかな量を直売所に持ち込んで販売しただけです。土がねぎたん♩♩に合っていないのもあるようですが、次の作付けの際はどう改善しようかと今から策を練っているところです。

— ニンジンの方は?

 ニンジンは今年初めて挑戦して、今のところ(取材は平成27年11月末)順調です。この冬初出荷になりますが、楽しみにしています。

— 新しいことにチャレンジしておられるようですが、今後も別なことに取り組みますか。

 今のところは、従来の種もみや大麦・大豆などについては一層の品質向上を目指し、新しく始めたねぎたん♩♩とニンジンについては栽培技術を高めることに専念したいと考えています。3人ですと、今の面積くらいがちょうどです。もっと拡大するには、新しい人手が必要になりますので、そこはよく考えた上で進めていきたいと思っています。

— 4年間、農業をやってみての感想をお聞かせください。

 同じものを栽培していても、気象条件等が異なりますから、毎年新鮮な気持ちで取り組むことができ、緊張感を持ちつつも楽しんでいるところもあります。また、祖父の仕事を手伝っていた時と、自分が中心になってやり始めてからは責任についての感じ方が変わってきました。祖父がよくここまで少しずつ面積を拡大してきたものだと感心しています。また、このあたりには稲作に意欲のある方が多いので、そういう方からの刺激も受けています。

— 今後の目標は?

 今考えているのは量より質。種もみや大豆、大麦、ネギの品質を高めることを目標にしています。農業って米や野菜をつくっているのではなく、育てているのだと最近しみじみ思うようになりました。生産者の方で、作物が発している声を聞き、肥料や水の加減を調節してやらなければいけない。「農業って奥が深い」と実感しているところです。