将来は100万羽の飼育を目指しています

氏 名
年 齢
就農地
就農年次




飛渡 翼(とびと つばさ)

35歳
小矢部市
平成18年

【自家就農/(有)津沢養鶏】

— こちらの経営概要を教えてください。

 鶏卵を生産するために養鶏を行っています。飼っている鶏の数は約50万羽。毎日約20t(約40万個)の卵を、ディーラーを通じて、富山県内をはじめ長野県や愛知県の食品スーパーなどに出荷しています。

— 子どもの頃から養鶏を見ていたわけですから、違和感なく就業されたのか?

 「将来、ここで働くかもしれない」と子どもの頃から漠然と思っていました。そして、畜産のことを勉強しておけば役立つだろうと思い、大学は農学部の生物生産のコースに進みました。ただ日本の大学では、畜産というと酪農がメインで、養鶏を学べるところは少ないのが現状です。それで卒業後、国際農業者交流協会の事業で、アメリカの養鶏会社に派遣していただいて、近代的な養鶏を学ぼうと思いました。ところが現地に行ってみると養鶏での受け入れ先は少なく、結局、酪農で研修を受けました。2年間、トレーラーハウスで自炊生活をしながら研修を受け、その後で、日本の大手養鶏会社での修業を経て、当社に入りました。

— 担当の仕事はどのようなものですか?

 卵のパック詰めの現場にいます。1日平均20tの出荷ですが、作業は昼過ぎまで続き、その後、帳票の整理等をしています。生き物相手の仕事ですから、鶏が病気にならないよう気をつけています。特に鳥インフルエンザが問題になってからは、園内の衛生管理には細心の注意を払っています。

— こちらの卵には、特徴はありますか?

 卵の鮮度を維持するために、作業現場では空調に気をつけ、夏場は涼しい状態を保つようにしています。また4〜5年前からは、一部の鶏のエサに、地元産の米(てんたかく)を混ぜて「とれたて小矢部たまご」のブランド名で販売し始めました。卵の白身・黄身に、弾力があるとお客様からは好評をいただいています。

— お兄さんが社長を務めておられますが、将来の目標を話し合ったりしますか。

 現状では、卵の供給は足りているとはいえません。これは全国的なことです。特に冬場は不足しがちです。そのため、鶏の飼育数を増やしたいという話しを時々します。

— しかし、新しく養鶏場を構えるには厳しい現実がありますね。

 牛も豚も含めて、新しく農場をつくる計画が持ち上がると、地域住民の方々は反対します。最近は、新農場の建設はほとんど進んでいません。そこで当社では、今の園内での新鶏舎の建設や建替えを通じて、鶏の数を増やすことを考えています。最近の養鶏技術は高度化していて、同じ面積でも飼育数を増やせるようになってきました。当農場では、おそらく100万羽近くまで増やせます。
 また今、養鶏業を営んでいる方が、経営を譲渡したいといわれるケースもあり得ます。当社では6年前に、他社から養鶏場を引き継いだ経験を持っており、その可能性は再びあるだろうと考えています。

— 養鶏、あるいは畜産業への就業を考えている方にアドバイスを。

 養鶏も含め、畜産には臭い、汚いというイメージがあります。それは現実で、否定できません。しかし畜産の現場も変わりつつあり、作業環境が改善されているのも事実です。また敬遠されがちなこの環境の中から、おいしい卵や肉ができ上がっているのです。当社では、ディーラーを通じてお客様の声をうかがっていますが、「おいしい」というお褒めの言葉が、何よりの仕事のやりがいにつながっています。こうしたことを踏まえて、畜産が好きで好きでたまらない方に、就農していただけたらと思います。