バラの切り花出荷を六次化で多様化

氏 名
年 齢
就農地
就農年次




安原 みさと(やすはら みさと)

38歳
小矢部市
平成14年

【自家就農】

— まず経営内容について教えてください。

 バラの切り花の出荷がメインで、ハウス5棟(800坪)で年間約20万本のバラを、富山・金沢の市場に卸しています。他に水稲、飼料米、大豆が約20ha。こちらは地域の方に委託されての作付けが多く、水稲(平成27年は約13ha)は増える傾向にあります。バラは四季咲きで栽培していますが、夏と冬の一時期、出荷が減る時があります。その時の出荷用に、ハウス4棟でテッポウユリ、アスター、ストックなどの草花も栽培しています。このハウスは、春には稲の育苗用に使っています。

— 就農されるまでの経緯は?

 バラ園は父が始め、母が手伝ってきました。子どもは姉と私の2人。両親は、バラ園を継いで欲しいと勧めることはありませんでした。高校の時、私は結婚式の花を飾ったり、ホテルのロビーの花の装飾などを行うフラワーデザインの仕事がしたくなり、卒業後は父の紹介で金沢の花屋さんで働きながら、資格取得の勉強をしました。この時は、家業を継ぐためにフラワーデザインの勉強をしようと思ったのではありません。そうやって数年働くうちに、花を加工するだけでなく、花を育てるところからやってみたいと思うようになり、24歳の時にバラ園を手伝うようになりました。

— 14年間やってみての感想は?

 バラの栽培・出荷は大変です。四季咲きにするために冬季はハウスを温めるのですが、その燃料代の費用が大きい。今年(平成27年)は落ち着いていますが、数年前までは原油価格は高騰していました。雪がたくさん降って寒く、かつ原油価格が高くなると本当に大変です。ただ、いいこともありました。この間に結婚して子どもが生まれたのですが、忙しいながらも子どもと触れ合うことができました。ハウスですから、雨の心配もありません。自宅は近くにあり、幼稚園や小学校から帰ると、子どもはすぐにハウスにきます。11歳の上の子は、「将来バラ園をやりたい」と今からいっています。

— 経営の安定化のために取り組んでいることはありますか。

 これは主に父が取り組んでいるのですが、委託栽培の水稲に関しては、地主の要望を受け入れて多様な対応ができるようにしています。委託内容には、苗だけ欲しい、田植えをして欲しい、収穫までのすべてをして欲しい、稲刈りだけして欲しい、といろいろあります。特に多いのは、収穫した米を混ぜないで欲しいというものです。

— それは、例えば営農組合のように一括して稲刈り・乾燥等をして応分の米を配分する、というのではなく……。

 そうです。自分の土地へのこだわり、肥料や農薬(消毒)の使用履歴などに強い関心を持っておられるのだと思います。地主の要望を受け入れるため、委託面積は増えています。

— 他に取り組んでいることは?

 フラワーアレンジメントの教室を、道の駅で月1回行っていますが、公民館や婦人会の活動でフラワーアレンジメントが企画され、講師として呼んでいただけるようになりました。また、数年前、バラの花を卵のパッケージに入れてギフト用に販売することを企画しましたが、知人のデザイナーの協力を得てギフトボックスをつくり、バラ風呂用に売り出しました。そのデザイナーがネット通販での販売を試みたところ、全国各地から注文が舞い込んでいます。これは、いわゆる農業の六次産業化ですが、卵のパックを利用した販売だけではうまくいかなかったでしょう。いろんな方のお知恵を拝借していく中で、成功の可能性が高くなるのがわかりました。