フォーラム・シンポジウム報告
第18回全国棚田(千枚田)サミット
第18回全国棚田(千枚田)サミットが、平成24年10月19・20日に「白糸台地の棚田、九州の真ん中」熊本県山都町で開催されました。
開催テーマ:子どもたちへ残そう地域の宝
~地域が育み続ける棚田の文化と景観~
♪♪♪ 晴れた日は棚田へ行こう…♪♪♪の矢部小学校児童172名の元気な歌声でオープニング、全国から約530人が集まり、棚田の活用法や保全のあり方について意見交換があり、棚田保全活動に対する熱い思いが伝わりました。
基調講演は、吉村豊雄 熊本大学教授が「棚田の歴史をさかのぼる~白糸台地の棚田から見えてきたもの~」と題して、通潤用水と白糸台地の棚田の歴史を講演した。
そのほか、「菅棚田地区」と「白糸台地棚田地区」の活動発表があった。
この後、「地域が守る棚田の保全と活用」、「棚田が育みつづける自然と機能」「棚田景観を活かした持続可能な地域づくり」、「棚田を未来に引き継ぐ主体と方法」の四つのテーマごとに4会場に別れ分科会があった。
20日の、棚田見学は平成20年7月に文化庁が選定した『重要文化的景観』の「白糸台地の棚田」ほか、『日本の棚田百選』の「峰の棚田」、「菅の棚田」の現地案内があり、青空の下、地元農家の皆さん手づくりの弁当と特産の「矢部茶」がおいしかったです。
(菅の棚田)
閉会式では、「棚田が持つ多くの機能を守り、後世に継承する」他5項目の共同宣言を採択し、次期開催地の中山利幸 和歌山県有田川町長が、来年の第19回全国棚田サミット(平成25年11月8日(金)~9日(土))への来町を呼びかけた。
おまけに、通潤橋の放水を見ることが出来ました。
土木構造物遺産通潤橋
笹原川の堰から取り入れた水は円形分水で分け、白糸台地に送っています。
途中の谷川(五老ヶ滝川)にかかる水路橋で、逆サイホン方式3連通路橋です。
よく写真で見る放水は、このサイホンの底にたまった土砂やゴミなどを吐き出すためのものです。
本来は江ざらいの時に放水するものです。
嘉永7年(1854年)に完成しました。
構造は、切石をアーチ状に積み上げ橋を作り、石管(吹上樋)を3列に載せています。
橋の長さ76.36m 高さ20.30m 吹上口落差1.1m
放水を2段でしているのは、放水により振動があり水路橋が崩れるのを防ぎバランスをとるためのものだそうです。
通常は一日一回5分程度の放水なので見られる機会は少ないのです。
サミットのため特別に日中一回と夜のライトアップ放水があり、十分見ることが出来感動しました。