富山の就農を知る
就農Q&A
近年、富山県内外を問わず、サラリーマンの間で「農業をやってみたい」「田舎暮らしをしたい」という人が年々増加し、またいったん農村を出た人が再び農村に戻って農業を始めるというケースも増えつつあります。富山県農林水産公社(富山県青年農業者等育成センター)では、「自分で経営を始めたい」「農業法人に就職したい」など農業を始める方へのアドバイスを行っています。
よく質問のある基本的項目をピックアップしてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
Q1新しく農業を始めようとする場合、どんな心構えがいりますか?
農業を始めることは、会社を興しその経営者になると言うことを意味します。農業を始める目的はいろいろあると思いますが、次のことを考えてみましょう。
農業を始める目標がありますか?
今の仕事が合わないから、自然の中で暮らしたいなどの理由だけでは農業を継続してやっていくのは困難です。「私はこういう理由でこんな農業をやりたい」という目標が必要です。
農業のリスクや厳しさを理解していますか?
農業は自然を相手にする産業であり、農業を始めるには一定の投資が必要です。また、経営が軌道に乗るまでに3年から5年程度要するケースが多く、その間の生活費の確保や気象災害の発生、農産物価格の変動などによる所得の減少などもあります。これらのリスクを十分に理解した上で決断することが大切です。
家族の理解と協力が得られますか?
農業をするためには農村に移住し、そこで生活していくことが必要であり、家族にとっても大問題です。そのため、配偶者は勿論、両親、子どもさん等の理解と同意が得られるよう、家族でしっかり話し合いましょう。
農村社会で暮らせますか?
農村には古くからの伝統やしきたりが残っており、農作業以外にも様々な行事や共同作業が行われます。地域の人たちと上手に暮らしていくためには、積極的に地域の行事や作業に参加するなど、地域社会にとけ込む努力も大切になります。
Q2どんな農業をやりたいのか迷っています。どうやって決めたらよいのですか?
一口に農業と言っても、稲作・野菜・花き・果樹・畜産など多様な作目があり、作物によっては露地栽培のほか施設栽培や有機栽培など栽培方法などいろいろなやり方があります。
農業を始めようとするにあたり、自分がどのような農業経営をやりたいのか、あらかじめその目標を明確にする必要があります。あなたがなぜ農業をやりたいのか、その就農目的に沿って考えてみると、自分の進むべき方向が見え、選択肢が絞られてくるでしょう。いろいろな経営類型を見たり、経営主や先輩達の話を聞くことも参考になるので、当公社にお問い合わせください。
農業のイメージを具体化するためのポイント
- 自営農業か、農業法人への就職か
- 農業をする目的は何か(所得の目標、自給自足的か、専業か)
- 経験の有無(知識、技術、技能の習得程度)
- 農地を確保できるか、借りることができるか
- 農業開始にあたって施設投資等のための資金が確保できるか
- 健康か、労働力が確保できるか
- 住宅、当面の生活費、運転資金の確保をどのようにするか
など
Q3農業や農村での生活を体験したり、実習したりしたいのですが
農業や農村生活の経験が全くない人が新しく就農しようとする場合、あらかじめ作りたい作物や飼いたい家畜に実際に触れて栽培や飼育を体験してみたり、農村生活を経験しておくことは非常に大切なことです。中でも技術的な面での作業経験をある程度は積んでおく必要があるでしょう。
体験の方法としては、以下のようなものがあります。
- 近所の農家に頼んで休日等に農作業させてもらう
- 当公社が窓口となる農業体験研修を活用する
- 当公社が運営する「とやま農業未来カレッジ」に入校する
- 富山県が開催するいなか暮らし体験「とやま帰農塾」に参加する
などの方法があります。
- 【とやま帰農塾】
- 富山県農林水産部 農村振興課
- NPO法人グリーンツーリズムとやま
Q4自営農業を始めようとする時、まず最初にどんな準備が必要ですか?
新しく農業を始めるには「農地」「労働力」「資金」が必要で、そのほか「農業技術」なども欠かすことはできません。しかし、農業といっても、作物や家畜の種類によって内容は様々で、技術は勿論、必要な農地面積や資金量も大きく異なります。
したがって、まず、どこで、どんな農業を、どんな規模で行うかなどをはっきりさせ、営農計画をきちんと立てる必要があります。さらに、農村に移り住んで新しい生活を始めることになるので、農業を含めた生活全体についての生活設計をする必要があります。また、新しく農業を始めるとなると、初期投資として農地や農機具を確保する必要があり、その資金が必要になってきます。農業は月々決まった収入があるわけではないので、農産物を販売し収入を得るまでの間の肥料代、農薬代などの運転資金が必要ですし、毎日の生活資金も必要になります。このため、農業が軌道に乗るまでの生活資金を含めた資金計画をしっかりと立てておくことが大切です。こうした計画を立てる過程で、本当に農業に取り組めるのか冷静に再検討することも大切なことです。
Q5農業を1人ですることは難しい、と言われましたが
家族の協力がないと農業経営が成り立たない場合が多いので、何よりも就農することについて家族の理解や同意を得ることが大切です。
Q6植物や動物好きなら農業はできるでしょうか?
農業をやるには植物や動物を育てることや、畑仕事が好きということは重要な条件です。しかし、農業を経営していくためには、ただ単に作物の栽培や家畜の飼育のことだけを知っていれば良いというものではありません。例えば機械の扱い方や修理のことから、販売の知識や仕入れの駆け引き、さらには、税金や農地の法律など、経営者としての幅広い知識が要求されます。
Q7有機無農薬栽培をしたいのですが?
「有機無農薬で農産物を作りたい」という相談が近年増加しています。しかし、一口に有機無農薬栽培といっても作目はいろいろあり、生産技術も高度なものが必要な場合もあります。また、土壌条件や気象条件に左右されることが多いため、生産が不安定になりやすく、経営の基幹にはなりにくい面があります。できた農産物も市場流通には本格的にのっていないことが多いので、一般的には自分で直接販売するか、生協や消費者グループとの契約販売になります。
したがって、就農当初から有機栽培を全面的に取り組むのはリスクが大きすぎるので、通常の栽培技術による管理法を確立し、それらを補完する形で有機栽培に取り組むのも一つの方法です。
Q8どうしたら農地を買ったり借りたりできますか?
農地を確保するには、買い入れ・借り入れいずれの場合も市町村農業委員会の許可が必要です。許可を得る前に売買代金を支払ったり、農地の引渡しを受けたりすると農地法違反になるので注意してください。
農業委員会では、農地が確実に耕作されるかどうかを営農計画や能力・資本装備(機械等)などから判断して許可・不許可が決定されます。その際の基本的条件として、確保後の農地面積の合計が50アール(市町村によっては異なります)以上であることが必要です。
また、農地に限らず土地を購入する場合は、現地を確認するとともに、その土地の権利関係を法務局で調べておくことも大切です。所有名義人、抵当権の設定、処分制限や仮登記の有無などを確認しておきましょう。
農地の売買・貸借については、確保したい農地のある当該市町村の農業委員会、当公社が農地の利用調整やあっせんをしていますので、ご相談ください。
Q9農業を始めるための自己資金が不足しています。融資制度はありますか?
新しく農業を始めるということは、新たに事業を開始するということです。どんな業種でも同じですが、経営を開始するためには、それ相応の事業開始資金や運転資金、収入が得られるまでの生活資金が必要です。
農業では、農地や農機具等の購入資金、家を購入したり改築したりする資金のほか、肥料農薬や種苗の購入資金、生活資金など、多くの経費が必要です。
農業経営を行う上で自己資金が不足する場合には、事業内容に応じていろいろな制度資金が利用できます。制度資金は、一般の資金に比べ低利で長期の資金として有利に活用できますが、新規に就農する人の場合には、貸付の条件や経営計画などの面からみて問題が少なくありません。就農計画を策定する際に農林振興センターなどに相談し、十分検討するのがよいでしょう。
Q10就農後に相談にのってくれる指導機関はありますか?
実際に農業を始めてみると、就農前には気づかなかったことや経験したことのないことに直面することがあります。あなたの農業を応援してくれる地元の先輩農家・友人をつくるとともに、農林振興センターや農協などの指導機関に相談しアドバイスを受けましょう。
富山県内には4か所の農林振興センターがあり、作物の栽培技術、経営管理などの農業全般にわたる幅広い相談に応じるとともに、各種の研修会・講習会の開催、個別のアドバイスを行っています。