先輩就農者の声
先輩就農者の声
できることとやりたいことなら、できることをやるべき。
やり続けることがやりたいに繋がる
経営の概要を教えてください。
140平方メートルのビニールハウスが10棟あり、そこで小松菜の周年栽培を行っています。栽培は全面撒きといって、畑の使える部分全てを使うスタイルです。ビニールハウス以外では野菜も作っています。2枚の畑で、季節の野菜を作っています。冬は路地野菜もやっています。社員は僕と妻の二人、パートさんは6人いらっしゃいます。
就農の経緯を教えてください。
大学卒業時にやりたい仕事を探したのですが、そのときは仕事というものに対して真剣に捉えることができずにいました。いろいろな会社で働いたのですが、どれも続かず…。決まりきった生活を定年まで続けなければいけないことが嫌だったんです。僕がそんな考えを持っていたので、どの会社に入っても合わないわけなんですよ。だったら自分で何かしようと考えたのですが、特別な経験値があるわけでもなく、資金があるわけでもない。何だったらできるんだろうと考え探していたときに、農業という選択肢が出てきたんです。国からの支援制度も充実していたため、この制度を利用しつつ、農家さんの所へ1年間の研修に行きました。
助成金制度を使い準備をされたんですね。
そうです。最初にかかる費用なども、助成制度を利用しました。初期費用はとても大きな額だったんですけど、自分だけのお金でやるとしたら実際2500万かかるところが1500万円で済むという感覚です。それってすごく大きな金額ですしありがたいことですよね。
農業を自営で始めるにあたり、金銭面以外でのリスクを考えたりはしましたか?
全く考えていません。リスクというのは、実際にやってみて身に降りかかってくることで初めて真剣に考えられることだと思うんです。もちろん災害リスクをしっかりと考えられる方もいらっしゃるとは思うのですが、僕は実際に何かが起こらないと何をどうするかが分からない。特にはじめたばかりの頃は、まず何かをやらなければ自分自身が駄目になってしまうと思っていたので、リスクを恐れずに前に進むしかなかったということもありますね。
若林さんの、農業に対するポリシーを教えてください。
必要以上に野菜にストレスを与え、糖度の高いものを作り出すというような栽培方法に違和感を感じます。野菜にストレスを与えることなく育て、備わるべき栄養素等を十全に持った本来あるべき野菜を作っていければいいなと思っています。
自家就農の良いところ、悪いところを若林さんの経験をもとにお話しください。
会社勤めが続かず農業を始めたという話をしましたが、今は自分が規則を決める側に立てているんです。ストレスがないということ、そしてすべて自由に決めることができることは最大のメリットであり、デメリットでもあります。例えば家族労働力という話でいうと、今日はパートさんに休んでいただき妻と働いています。妻は固定給なので経営を考えると家族労働力のみで回すことが最適解に思えます。ただ、私達には小さな子供がいるので急に体調を崩してしまうと面倒を見るために妻の労働力が期待できなくなります。2世帯や3世帯の家族ならそれを家族の中で補うことができるかもしれないですが、私のような核家族構成の家族労働力だとそうすることはできません。なので、仕事を回す為には家族以外の従業員がいることはとても大切なことだと考えています。外部の力を借りることにより安定して家族労働力以上の仕事ができます。
これから就農を考えている方に向けて、何かアドバイスをお願いします。
できることとやりたいことがあったら、できることをやるべきです。できないけどやりたいことをやるより、できることを確実にやり続けることで初めてやりたいことに繋がっていく気がします。