先輩就農者の声

先輩就農者の声

根底にある好きという感覚を常に大きく持って

経営の内容を教えてください。

 現在、米が3ha、蕎麦が16ha、桜が0.8ha。そのほか、桜の出荷事務や周りのサポート作業などを行っています。

就農される前はどのようなお仕事をされていたのですか?

 大学進学で新潟に行き、大学院まで出ました。地元に帰ろうか東京に行こうか迷っていたのですが、地元で会社を作ろうと決意。3年間、修行のために東京へ行きました。東京では海外の機械を日本で販売する商社の営業をしていました。自分で決めた3年が経ったので、富山へ帰郷しました。

なぜ農業を仕事に選ばれたのですか?

 県外の人たちの富山のイメージは「売薬」と「食べ物」が圧倒的だったんです。なので、薬か食に関わることがいいだろうと思っていました。ただ、薬は薬事法の知識や薬学部に入っていなければできないことも多く、僕にはできないと思ったんです。もともと物理も生物も地学も好き。これはすべて農業でできるのでは?と考え、ハローワークで農家への働き口を探しました。農家の後継者募集を見つけたので、その方の元へ研修に行きました。

富山さんの好きや得意を活かすことができることが「農業」だったのですね。

 やっぱり何をするにもその考えがないと無理だと思います。根底にある好きという感覚は、常に大きく持っていないといけません。

農作業は、研修先で学ばれたのですね。

 そうです。まさか農業をまったく知らない奴が来るとは思ってもみなかったみたいですが(笑)。本当に何も知らなかったので、ゼロからあらゆることを教わりました。

実際に会社を立ち上げられたときに、想定できていなかったことはありましたか?

 いろいろなことが「昭和の時間」で止まっているという感じを受けました。なので「昭和」から「平成」にしていこう、というのが最初の仕事だったと思います。携帯も繋がらなかったので、電話会社に連絡をして事務所に電波が通るようにしてもらいました。wi-fiを付けてフリースポットを設置したりとか。その後、桜の注文をインターネットで受けられるようになりました。ようやく後払いだったものを、先払いにする仕組みを作れました(笑)。今ではクレジット対応や店舗のクラウド管理もしています。

現在はどういう場所に商品を卸されているんですか?

 今はほぼ直売です。以前からご贔屓にしてくださるお客さんもいますし、新しく個人でいらっしゃる方もいます。あとは会社を始める前にアルバイトをしていた土産店に卸させていただいたりもしています。

新規のお客様への販路はどのように広げていきたいですか?

 今、うちで作っているだけでは生産が追いつかない状態なので、まず新規を開拓するというよりも今届けられるものを作るということに力を入れていて取り組んでいます。

富山さんのこだわりを教えてください。

 作物に対しては、農作物を作ったその先を見るようにしています。ただどこかに卸して誰が食べているか分からない、というのではなく、どういう場でどういう風に消費されているかを知る。作物を作ってから人の口に入るまでを考えていくことを信念としています。

これから就農したい方に向けて、メッセージをお願いします。

 農業は個人、法人経営などいろいろな関わり方があると思うんです。僕みたいに農業を経営したいという人もいれば、野菜を育てていきたいという人もいます。でも単純に農業がしたい、だけでなく農業の中でも何がやりたいのかという具体的なビジョンを持っているといいかなと思いますね。農業がしたくても、食べていけるかという話はまた別。本当に農業をしたいなら、僕は法人に入ることもおすすめしたいと思います。

とやま就農ナビ公式LINEアカウント