先輩就農者の声
先輩就農者の声
興味のあることをやりながら人脈を作り
そこから農業を始めるのもいい
気楽にやってみようという考え方もある
経営の概要を教えてください。
主力作は里芋で240a。あと切花が30aで品種は3、4種。水稲が150aとアスパラガスの促成栽培を10aしています。
就農のきっかけを教えてください。
高校を卒業後、飲食店で2年働き、その後やりたかった車関係の仕事に7年間従事しました。自営業をしたい気持ちはずっと持っていたのですが、何をしようかと考えた時、手っ取り早くできるのが自分の家を継ぐことだったんです。当時、祖父母はもう高齢で、生産量は増やせない。でもお客さんは増えている状態でした。車の仕事を辞めて家の手伝いを始めたのがきっかけです。
農業の経験はあったんですか?
小さい頃からしょっちゅう畑にはいましたし、田植えは高校生の頃に手伝っていました。でもそれは本当にただの手伝いでしたね。いろいろ祖父から教わろうと思っていた矢先に亡くなってしまったんです。もう自力で農業をやらざるを得ない状況でした。
就農1年目で!
はい。はじめの1年は本当になにもわからなくて、振興センターや農協、近所の人など、とにかく相談しまくりました。農業って最初の資材購入にお金もかかるし、2年目はないなと思っていましたね。でも1年はやらないといけない状況だったので、とりあえず赤字だけは避けるつもりで頑張りました。
その時は何をメインに出荷されていたんですか。
米と里芋です。収穫時期だけ来てくれていたパートの方にお願いして、植え付けは祖母と農家の友達頼み。事務を勉強してこなしつつなんとか1年を乗り越えられました。この1年のおかげで、2年目はなぜか楽に感じられたんです。そこから現在に至ります(笑)。
百生さんの農業のこだわりはなんですか?
うちの里芋は、贈答用の質の良いものを作っています。質の良いものって全体の20%しか採れないんですが、残りの80%を作らないと質の良い20%って作れないんですね。なので従業員を入れて農地を拡大しながら、質の良い里芋をできるだけ多く収穫できるよう心がけています。
自家就農のメリットとデメリットを教えてください。
僕は運が良かったんです。祖父が急にいなくなったので、自分のやり方を貫き通せたことがメリットかな。デメリットは、すべての責任は自分が負わなければいけないところ。肉体労働も事務仕事も営業もすべて自分でしているお陰で、圃場になかなか出ていけないこともあります。
就農後、成長できたと感じられるところはありますか?
面倒くさいことを後回しにする癖はなくなってきたように思います。自分一人ではなく、スタッフの生活も考えなければいけませんので。
仕事でのやりがいを教えてください。
年末に通帳を見た時、やっててよかったと思えるように頑張っています。あと知り合いが増えたこともモチベーションかな。青年農業者の会合に行くうちに、これまで知り合わなかったような知り合いができて、自分の体験できない話も聞けたりするので。
人とのつながりを大事にされているんですね。
最初は知らない人たちばかりなので、行くのを迷っていた時期もあったんです。まさかこんなに農業仲間ができると思いませんでした。本当に行って良かったと思っています。
百生さんの農業のこだわりを教えてください。
出荷前の最終チェックは全て自分一人で行っています。自分の基準をしっかり持つことで、ブレのない質を保てる。本当はもっと量を増やしたいのですが、その前に質だけは落とさないようキープしておきたいと思っています。
就農を考えている方にメッセージをお願いします。
人って最終的にどこかで繋がっていくので、興味のあることをやりながら人脈作って、そこから農業を始めるのもいいと思います。定年があるものでもないし、気楽に農業をやってみようかなと思う考え方もありなのかなと思います。