先輩就農者の声

先輩就農者の声

仲間がいればいるほど、農業は強くなる!

現在の経営の概要を教えてください。

 ビニールハウスが10棟ありまして、うち8棟で春に水稲の育苗作業、それが終わってからこまつなの栽培をしています。あと2棟はしいたけ専用のハウスで、菌床栽培をしていまして、今菌床は12,500個、年間約6tを栽培・出荷しています。また水稲も現在7haほど栽培しています。
 基本は私と甥の2人でやっていて、繁忙期のみ姉やパートさんに手伝ってもらっています。

就農までの経緯を教えてください。就農したきっかけは?

 私はもともと建設業で働いていまして、父がこまつなと米を作る農家をしていたんです。忙しい時期だけ農業の手伝いをしていました。ただ自分は末っ子で兄もいるので、将来的には兄が家業を継ぐんだろうと思っていたんです。でもその兄も継ぐ気配がなくて。
 それで父がもうそろそろどうしようかなと悩んでいるときに、青年就農給付金というのができて。父から、これを機会にやってみないか?と言われて、思い切って会社を辞めました。30歳の時です。

就農して6年経ちましたが、振り返ってみての感想は?

 特に変わっているな、ほかの業種とまったく違うなと感じたことは、農業は共同精神が強いなと。普通の仕事だと、同業者は少しでも少ないほうがいい、同業者を蹴落として…みたいなところがあると思うんですが、農業はそうじゃない。
 たとえばこまつなで言えば、自分一人で生産するこまつなはどうしても量が限られているんです。でもこまつなを作る人がたくさんいれば、常に安定した量を出荷できる。そうすることで安定した価格にもなる。仲間がいればいるほど、自分にとってプラスになる、お金の面でも、もちろん精神面でも。そういうのは他の業種では考えられないですね。

たしかに他の業種では、同業者はどちらかと言えば敵ですものね。

 3年前に父が他界しまして、その頃から新しく始めたことがいくつかあるんです。特にしいたけ。
 しいたけは今まで、この辺りに生産者が全然いなくて。父は生前、「しいたけはうちの専売特許でいいんだよ。独り勝ちでいいんだよ」と言っていたんです。
 でも2年前、同じ魚津の農家さんにしいたけを作りたいと相談されて。僕がかなり背中を押してあげたんですよ。作り方やハウスの立て方、ほぼ全部僕が教えて、去年からその方もしいたけを始めた。それまでしいたけは、直売ばかりで市場に出荷できなかったんです。理由は数を出せなかったから。でもこれからは生産者が2人になったので生産量も倍になって、共同出荷すれば勝負出来る!と。それで、去年からはしいたけも市場に出荷できるようになりました。

今後の目標や抱負、新たに取り組んでみたいことはありますか?

 まずは規模拡大です。私はこの地域が本当に好きで。もともとこの地域が農業で活性化してきた村だから、自分も農業をやっているんです。父から引き継いだ責任というより、この地域が好きだからというほうが大きい。
 私の最大の目標はこの地域に人を呼ぶことです。そのためには雇用を増やすのが一番手っ取り早い。雇用して来た人達がまた、他の人を呼んでくれる。本当にこの地域っていいところだと、発信できる方法が雇用なので、雇用を増やすにはまず規模拡大かなと思っています。

これから就農を考えている方へのメッセージやアドバイスをお願いします。

 農業というと、こだわって作りたいという方が多いと思うんですが、自分だけのこだわりに終始するんじゃなくて、いろんな人に出会える場があるから、そういう場にも参加して。いろんな知識と経験を増やしていってもらいたいなと思います。

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